
重症心身障害児病棟ってどんなところなんだろう?
業務内容が知りたいな。
重心病棟ってつらいの?
重症心身障害児者病棟がどんな病棟なのか、なかなかイメージが湧きませんよね。
実習で行ったことがない限り具体的にイメージするのは難しいのではないでしょうか。
重心病棟がある病院は主に国立系の病院であることが多く、病棟の実際についてはネット上に詳しく載っていないことが多いです。
実際に国立系病院の重症心身障害児者病棟で働いていた私が、病棟の雰囲気について詳しく解説します。
- 重症心身障害児者とは何か
- 重症心身障害児者の看護とはどんなものか
- 重心病棟の1日の業務内容
- 重心病棟では何が辛いのか
- 重心病棟の特徴
重症心身障害児者とは

重症心身障害とは、重度の肢体不自由と重度の知的障害が重複した状態をいいます。
知的障害や運動障害に加え多くの障害やその二次障害があり、障害の程度や種類は人それぞれです。
加えて、家族の希望も様々なため、ケアの個別性が高いです。
私がいた病棟では、2歳~70歳台の患者さんがいました。
コミュニケーション障害を持つ患者さんがほとんどです。
四肢の変形や拘縮、側弯や胸郭の変形があるかたも多く、筋緊張やてんかん発作もあります。
高齢化から年々重症度が高くなってきており、呼吸器管理の患者さんも多数いました。
- 出生前要因(胎内での感染・中毒、脳形成異常、遺伝子異常)
- 周生期要因(低酸素性虚血性脳症、脳室内出血など)
- 出生後要因(細菌性髄膜炎、脳炎、急性脳症、頭部外傷、溺水など)
重症心身障害児者の看護


たくさん合併症があることは分かったけど、どんな医療・看護ケアが必要なんだろう?
実際病棟でやっていることを教えてほしいな!
- 【神経疾患】てんかん・筋緊張亢進など
- →薬剤投与・調整(抗てんかん薬・筋弛緩薬など)、発作観察・記録
- 【呼吸器疾患】喘鳴・無呼吸・排痰困難・呼吸困難・誤嚥性肺炎
- →吸引、吸入、気管切開、酸素投与、人工呼吸器、腹臥位訓練、IPV、カフアシスト、コンフォートカフ
- 【骨・筋疾患】骨粗鬆症・骨折・側弯・変形・拘縮
- →体位調整、ケア時注意、整形外科的処置
- 【消化器疾患】摂食嚥下障害・嘔吐・逆流性食道炎・イレウス・便秘
- →経腸栄養、胃瘻造設、下剤調整・浣腸・摘便
- 【泌尿器疾患】尿路結石・水腎症・尿路感染
- →泌尿器科的処置
これに加えて、
- 清潔ケア(陰部洗浄、入浴2回/週)
- 食事介助
- 体位変換
- おむつ交換
などの一般的な日常生活援助があります。
栄養状態により、食事や体重管理を医師と連携して行います。
体位ドレナージ・腹臥位訓練などの体位調整について、今ある機能を維持するためにリハビリとの連携も図ります。

実際の患者さんの活動状態としては、臥床の方や起き上がり可能な方など様々ですが、移乗や排泄は全介助です。
嚥下障害の方が多く、食事も全介助。経口摂取の方の食形態はきざみ食や流動食。経管栄養の方も多くいます。
意思疎通が困難な方が多く、笑顔や声出し、心拍数の変動など、患者さんにより表現方法は様々でした。
重心の場合はバイタルサインの観察が特に重要になります。コミュニケーション障害のある方が多いため、健康状態や痛み・苦痛を伝える唯一の手段となります。
患者さんは体温中枢の機能不全、筋緊張亢進による過度な体温産生、体温放散機能低下、低エネルギー代謝による低体温など、体温調節に多くの問題があります。平熱や対応は様々です。
苦痛やストレスにより交感神経が優位になると心拍数は増加し、リラックスした状態では心拍数は減少します。発作時や発作前に心拍数が急増する方や、お腹がいっぱいになると心拍数が増加する方がいました。患者さん一人一人の平均値や数値が変化する要因を理解し、”いつもと違う”状態に早期に気づけるようにすることが大切です。

看護師の役割は、
- 患者さんの感情やニーズを汲み取り看護に繋げていくこと
- 異常を早期発見し安全安楽な暮らしを提供すること
- 患者の持つ機能の低下を防ぐこと
- 家族への情報共有や心理的ケア
であると考えて業務を行っていました。
重症心身障害児者病棟の1日の業務内容~何がつらいか教えて!~


重心病棟は体力勝負とか辛いって聞くけど、なんでなんだろう。
病棟の1日の流れを教えて!
- 8:45病棟到着、情報収集
- 9:00検温
- 9:30陰部洗浄・(入浴)
- 10:30経管栄養患者さんの口腔ケア
- 11:00昼:経管栄養開始
- 12:00食事介助
- 13:30経管栄養回収・車いす乗車
- 14:00カンファレンス・(入浴)
- 15:00オムツ交換
- 16:00夕:経管栄養開始
- 16:30退勤
病棟には療養介助員や保育士もいて、それぞれが余暇活動や療育活動を行っています。午前、午後で部屋ごとに分け、患者さんは余暇と療育の時間を過ごされています。
患者さんによってリハビリや言語聴覚療法をしている方もいらっしゃいます。

重心病棟で辛いことは、腰に負担がかかることです。私はコルセットを使用していました!
1日30人(自分のチーム)のおむつ交換を2回/日勤帯。入浴介助を1日中(週2回)。
車いす移乗(2名で抱きかかえる)を余暇活動やシーツ交換時に実施。
ADL全介助の方が多いため、どうしても体力は使います。
また、個別性の理解が重要な病棟でもあるため、患者の背景や情報を理解するのが一苦労でした。
人それぞれ辛いと感じることは違うと思いますが、同僚たちが話していた辛い理由は他にもありました。順番に挙げていきます。
1.患者さんと会話できないことがつらい。
2.患者さんの退院は基本的にないため、ずっと同じ患者さん・患者家族の方と付き合っていくことが苦手
→家族の希望や意向に沿ってケアを実施するため、患者さんの状態報告やケアの提案など他の病棟よりも密に接する必要があります。
コロナ禍では面会制限により、ご家族はリモート面会や荷物の受け渡し程度ですが、面会制限がなければ1日中患者さんへ付き添い、看護師のケアを見ているご家族もいらっしゃいます。
3.一般病棟と違い、日々決まった業務を行うことがつらい。
→ドレーン管理や点滴、採血、入院対応はほとんどありません。
患者さんの状態悪化時の指示受けや臨機応変な対応や指示受けが久しぶり過ぎて苦手な看護師もいるかもしれません。
一般病棟での経験が長いほど、今までの環境とのギャップを感じる看護師が多いです。
4.カンファレンスが多くてつらい。
→重心病棟は急な問題がない限り、1日のスケジュールが決まっています。
午後はカンファレンスの時間が30分~1時間確保可能です。その時間で勉強会や患者カンファレンス、インシデントカンファレンスを行います。
患者カンファレンスでは、下剤の量調整・体位調整・栄養量調整などの内容を取り上げます。
一見小さな問題に感じますが、少しの変化でも敏感に反応する重心患者さんゆえにカンファレンスもしっかり行っています。
インシデントカンファでは、薬の内服間違えや患者さんの外傷(原因不明の擦過傷や内出血)発見が多いです。
麻薬の取り違え、インスリン投与間違え、転倒・転落と言った大きなインシデントは少なく、レベル0でも話し合いを行っていて、確かにカンファレンスが多くありました。
5.スタッフ同士の人間関係がつらい。
→どこの職場でも人間関係の悩みはつきものだと思います。
重心病棟は一般病棟よりも時間に余裕があるためか、スタッフ同士のコミュニケーションの機会は多くありました。
良くも悪くも、会話のネタは看護師・介護士であることが多かったです。病院やスタッフの人柄にもよるので一概には言えません。
病棟の特徴~看護師ママにもおすすめ?~


ママさんナースの私から見た、重心病棟のメリットをお伝えしていきます!
上記にも挙げた通り、重心病棟は1日のスケジュールが決まっています。
緊急入院もなく、予定している短期入所のみの入院受け入れです。医師からの指示が夕方に入るなんてこともありません。
そのため、基本的には定時上がりが可能です!小さな子を育てるママにはおすすめと言えます。
患者情報や必要な看護技術も急な変更はほとんどなく、慣れてさえしまえば家庭との両立はしやすいと感じています。
日々患者さんの状態が変わり、必要な薬や治療が変化していく一般病棟とは違います。常に緊張感がある環境ではありません。
患者さんが穏やかな生活を送れるように支援するため、患者さん一人一人に集中して看護が提供できる環境です。
病院や施設にもよりますが、国立系病院では障害者手当25000円も付きます。
このような環境からか、私がいた病院では育児中のママが多くいました。
子供の体調不良による急な休みや保育園早退にも理解があり、先輩ママさんに育児のことや家庭との両立のこともたくさん教えてもらいました。

長期的に患者さんと向き合いたい、観察力やコミュニケーション力を身に着けたい、患者さんや家族と信頼関係を構築したい、より個別的なケアを提供したい方にはおすすめの病棟です!
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